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津田教授最終講義

2024年3月26日に大気海洋研究所にて津田教授の最終講義がおこなわれました。6名の最終講義の大トリで、タイトルは「ことばの海」。津田先生の研究者として、また所や本学の運営をこれまでを周りの方々や書籍やアニメからのことばとともに振り返るという津田先生らしい最終講義でした。今回はyoutubeでライブ配信されてましたが、遠方からも駆けつけてくれる方もいて嬉しい限りです。研究室のモットーなど、これまでも何かの機会で津田先生から聞いたことばを思い出しながら聞き入ってしまいました。津田先生からいただいたことばを引継ぎ、今後も研究室を盛り上げていればと思います。津田先生は本学に残り、今後も理事・副学長として引き続きご活躍されます。お忙しいとは思いますが、たまには研究室にも顔をだしてもらえると嬉しいです。

 

最終講義「ことばの海」

 

集合写真。卒業生も含め、遠方からも所外の方が来てくれました。今年度は研究室全員が集まることもなかなかなく、貴重な集合写真でもあります。

 


2024年03月26日

7th Zooplankton Symposium

3/15-3/24にかけて国際学会7th Zooplankton Production Symposiumに参加してきました。開催地はオーストラリアのタスマニア島にあるホバートで、研究室からは西部・平井・飴井・中江・玉蟲の5名が現地参加で発表、Zhouは他の重要な用事と重なり事前録画での発表になりました。ホバーとまでは何だかんだ時間がかかりますが、時差がほとんどないのはありがたいです。Zooplankton Production Symposiumは前回2016年にノルウェーで行われて以来の開催です。私(平井)は2回目の参加ですが、動物プランクトンの著名な研究者とも交流でき、関連分野の研究者と議論できる貴重な機会である印象です。忙しい年度末で研究室からも多く参加したためなかなか大変ではありましたが、参加してよかったです。研究室からの発表内容は以下の通りです。


Kanako Amei, Junya Hirai, Erica Goetze, Yuichiro Nishibe. Global species diversity of pelagic polychaetes in the family Tomopteridae as revealed by molecular approaches

Junya Hirai. Reference sequence data for marine zooplankton in the era of high-throughput sequencing

Junya Hirai, Seiji Katakura, Hiromi Kasai, Satoshi Nagai. Copepod-virus interactions revealed by molecular and morphological approaches

Misato Nakae, Junya Hirai, Naoki Iguchi, Yosuke Igeta, Kay Sakuma, Yuichiro Nishibe. DNA metabarcoding reveals the community structure of copepod nauplii in the Japan Sea

Yuichiro Nishibe, Aiko Tachibana, Atsushi Tsuda. Egg dormancy in the perennial copepod Acartia hudsonica in a northern temperate bay

Nakako Tamamushi, Junya Hirai, Fanyu Zhou, Takuya Ohnishi, Atsushi Tsuda. Metabarcoding analysis for comparing epipelagic/mesopelagic zooplankton communities in the Pacific and eastern Indian Oceans

Fanyu Zhou, Junya Hirai, Koji Hamasaki, Sachiko Horii, Takuya Sato, Atsushi Tsuda. The wide distribution of Euphausia species in the low-latitude ecosystem supported by the flexible omnivory: two cases in the low-latitude Indian and Pacific Oceans


飴井さんの発表。浮遊性多毛類の地球規模の多様性の発表を行いました。


Zhouさんはレコーディングでの発表。アプリ上で質問出来たり、meet up の企画をしたり、写真を共有したりと便利でした。



中江さんの日本海のカイアシ類ノープリウス幼生についての発表。


玉蟲さんのインド洋・太平洋の広域メタバーコーディングに関する発表。



私(平井)はSCORワーキンググループMetaZooGeneのミーティングも行いました。また、メンバーが主催したワークショップで招待講演も行いました。前回のノルウェーの大会に比べて随分とメタバーコーディングも一般的な方法になってきた印象です。解析の問題点などはなかなか国内では出来ない議論もでき、共同研究の相談もできたし貴重な機会となりました。今後はこのような問題点を共有できるようなプラットフォームを作る話にもなりました。



合間に色々と見て回れるのも国際学会に参加する醍醐味です。写真はwellington mountainからの眺め。絶景でした。



ボノロング動物保護区。カンガルーに餌もあげれます。写真はとにかく可愛いウォンバット。世の中がウォンバットで溢れれば世界がもっと平和になるんじゃないかさえ思いました。ウンチが四角いらしい。



なんとも言えない表情のタスマニアデビル。タスマニアタイガーが亡き今はタスマニア島の支配者らしい。

 


2024年03月23日

海洋生物シンポジウム2024

ホームページ管理人の平井です。3月14日に海洋大学にて海洋生物シンポジウム2024を開催しました。今回は7th Zooplankton Peoduction Symposiumが控えていることもあり発表数が少なくなる心配もありましたが、結果的には一般講演24件と昨年に引けを取らない発表数の申込をいただけました。私は事務局として運営に関わりましたが、2回目のハイブリッド形式も大きなトラブルなく終了でき安心しました。発表もプランクトンだけでなくサンゴから魚、また物理化学や工学分野を専門とする方からの講演もいただき、海洋学会ならではのシンポジウムになったのではないかと思います。閉会の挨拶でもあったよう、今後は学際的な研究がもっと展開されればより海洋学らしいシンポジウムになるのではないかと期待の持てる会となりました。来年は2日館開催、さらに懇親会付きを目指すことになります。運営としては負担も増えてなかな複雑な思いもありますが、もう少し頑張って会の発展に貢献できればと思います。

 

 

現地開催とオンラインを合わせると100名近い参加がありました

 

 

乗船中の近藤会長に代わり伊佐田副会長による挨拶

2024年03月14日

紋別シンポ・ガリンコ号調査

管理人の平井です。2月後半に2回、北海道紋別に行ってきました。一回目はシンポジウム、2回目はガリンコ号の海氷調査です。ガリンコ号調査は4年ぶり2回目。4年前は沖の方に海氷があったのですが、今回は港の周りも氷がびっしり。ガリンコ号でもなかな沖の方にいけないものの海氷下の動物プランクトンは何とか採集できました。ネットに氷が入らないようにするのがなかなか大変で、熱帯や亜熱帯をフィールドとすることが多かった身として不思議な感じです。モニタリングが行われるオホーツクタワーでは氷がびっしりでネットが降ろせなかったものの、翌日には氷も後退してすっかり消えてダイナミックな環境の変化もみれました。シンポジウムでは4年前の調査の海氷下の動物プランクトン相について発表しましたが、今回の調査の結果も加えて成果をまとめればと考えてます。今回も紋別市、オホーツクタワーの方々には大変お世話になりました。



オホーツクタワー周辺までまでびっしりの海氷。ここまで氷があるとネットも投入できません。



ガリンコ号でのノルパックネット採集。氷が入らないように注意しながら採集します。



海氷の中を進むガリンコ号II


2024年03月05日

論文:低緯度域のオキアミの群集構造

ポスドクZhouさんの論文がJournal of Oceanography誌から公開されました。

https://link.springer.com/article/10.1007/s10872-024-00713-z

 

Primary productivity impacts community structure of euphausiids in the low-latitude Indian and Pacific Oceans
F Zhou, J Hirai, T Sato, S Horii, K Takahashi, A Tsuda
Journal of Oceanography, 1-14

低緯度域に着目して東部インド洋と太平洋外洋域のオキアミ群集構造を調べた論文です。高緯度と低緯度で群集を比べると水温の影響が大きく出るのですが、低緯度域に着目すると海の1次生産がオキアミ群集構造や多様性が大きく影響を及ぼすことが分かりました。また、特異的な環境のベンガル湾では他と違うオキアミ群集が見られています。これだけでも十分面白い結果なのですが、Zhouさんが博士課程論文で進めてきた食性解析など今後の研究にも大きくつながる成果と考えています。

 

2024年02月14日

講師昇任

ホームページ管理人の平井です。私事ではありますが、2月から講師に昇任しました。研究活動などはこれまでと大きく変わることはないのですが、助教と違って任期がないので少し先を見て研究体制を整えることも出来そうです。また、正式に学生の指導教員になれる一方、所や研究科の運営にも今後はもう少し関わることになります。2月のいう中途半端な時期もあり、さっそく入試・修論発表・博論発表などの仕事も入ってきました。今年度は津田教授の退官もあり、来年度からは新たな体制となりますが引き続き浮遊生物グループをよろしくお願いします。

 

 

柏駅のそばのスペイン料理屋でお祝い会をしてもらいました。自分が主役になるのはなかな慣れないものですが、集まってもらえて嬉しかったです。もう少し写真映りが良くなることも今後の目標です。

 

2024年02月01日

オーシャンDNAテック2023


助教の平井です。11/1-11/2に大気海洋研究所でOceanDNAテック2023が開催され、発表も行いました。

 

http://ecosystem.aori.u-tokyo.ac.jp/OceanDNAtech/

 

環境DNAを中心とした最新の技術の紹介から社会実装まで、また微生物から大型生物まで、幅広い講演がありました。私は狭義の環境DNA研究はほとんど行ってないのですが、微小生物自体のDNAも含む広義のDNA/RNA解析ということで、動物プランクトンの分子生物学的手法について紹介させていただきました。その他にも自動サンプラーやウイルス・微生物、魚類の環境DNA研究など話題は様々でそれぞれの技術はもちろんなのですが、ネットワーク形成など本当に進んでいるなと実感しました。動物プランクトンでは分子生物学的手法の普及が遅れ気味なので、今後頑張らなければいけません。普段の学会と違うのは環境アセスなどの起業の参加者が多い点でしょうか。今回は3回目の開催ですが、人脈形成の場にもなってますし、個人的にも共同研究につながるような話が出来て非常に有意義な時間でした

 

 

濱崎先生による趣旨説明

 

また、今回は口頭発表の他にポスターセッションもありました。研究室からはポスドクのZhouさん、博士課程の玉蟲さんが参加し、多くの質問をもらえたようです。

 

 

平井惇也,動物プランクトンの分子生態学のこれまでと今後

Fanyu Zhou, Junya Hirai, Koji Hamasaki, Takuya Sato, Sachiko Horii, Kazutaka Takahashi, Atsushi Tsuda. Community structure and feeding ecology of euphausiids in the low-latitude Indian and Pacific Oceans)

玉蟲奈佳子・平井惇也・大西拓也・周凡煜・津田敦.メタバーコーディングによる東部インド洋・太平洋低緯度域における動物プランクトンの群集解析

 

 

2023年11月08日

柏キャンパス一般公開

10/27-28に柏キャンパス一般公開が行われました。コロナで中止やオンライン開催が続きましたが、久々の実地開催です。浮遊生物グループは普段はなかなか見ることの出来ない標本の展示を行いました。またプランクトンネットで採集された親潮域・黒潮域の試料も来場者に観察してもらいました。北の海のほうが大きいプランクトンが多くて、南の海のほうが小さいなど、海域による違いも目に見て分かってもらえたかと思います。また、学生の皆さんが頑張ってくれてオリジナルパーカー・ステッカーの作成も行いました。ステッカーは500枚作って来場者に配布しましたが、最後には50枚も残ってない盛況ぶりです。我々のように人数の少ない研究室では運営もなかなか大変ですが、普段はあまり見ることのないプランクトンの世界にも触れてもらえたかと思います。子どももたくさん来てくれました。少しでもプランクトンに興味を持ってくれたら嬉しい限りです。

 

2階からとった写真。1階のエントランスフロアでの展示を行いました。これはまだ人が少ない時です。


浮遊生物グループの展示。生きているプランクトンも見せたかったので、前日にキャンパス内で採集も行いました。柏ももう少し海に近いといいのですが。



2023年10月30日

最近の研究室

9月はなかなか忙しい時期で、すっかりホームページ更新もサボってました。最近の研究室としては9月6日に半期に一回の成果報告会を行い、成果報告後は久々にBBQを行いました(写真なし)。また、9/12には関連研究室の齊藤教授の還暦祝いが行われました。来月、再来月にも各種シンポジウム、学会、一般公開もあるし、来年の国際学会での発表に向けて皆準備を進めています。昨年、一昨年と違いイベントが増えてきています。

 

 

柏の葉キャンパスから歩いて10分ほどのT-siteにて。久々に駅から歩きましたが、うなぎ屋とかラーメン屋とか色々と新しいお店が出来ていて驚きました。

2023年09月29日

2023年日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会(函館)

2023年9月1-3日に2023年日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会が北海道大学函館キャンパスで開催されました。2019年以来の対面開催です。浮遊生物グループから平井と飴井が発表しました。飴井さんは学生優秀発表賞受賞です!!


〇飴井佳南子・平井惇也・Erica Goetze・西部裕一郎
分子生物学的手法による浮遊性多毛類オヨギゴカイ科の全球的な種多様性解明

〇平井惇也
ゲノムスキミングによる動物プランクトン有用遺伝子配列の取得

 

対面開催の良い点は発表が終わったあとにもあーだこーだと議論できることでしょうか。色々な場所に仕事でいけるのも役得です。個人的には高校生の時に旅行して以来の函館だったのですが、海の幸とともに楽しい時間が過ごせました。来年は島根での開催とのことです。

 

 

たまたま乗船のため函館にいたOBのO西さん(水研釧路庁舎)。ジンギスカンを焼いてます。家にクーラーがなくて辛いそうです。

 

飴井さんの発表。おそらく最大視聴率でした。

 

 

受賞おめでとうございます!

 

 

2023年09月03日

KS-23-11航海

7/17から7/28まで、西部准教授主席の新青丸KS-23-11次航海が行われました。鹿児島を出発して四国沖の黒潮域を観測する調査です。浮遊生物Gからは西部、山下、平井、飴井、張の5人が参加です。主な目的なマイクロプラスチックの採集ですが、新型の多層式ネットを用いた動物プランクトンの採集も行いました。私(平井)は新青丸が出来た2013年の習熟航海以来の乗船で、実に10年ぶりでした。今までに記憶にないくらい良い天候が続き、荒れることなく順調に観測が進み、早めに東京湾にも入れました。次回の乗船があれば釣り竿を忘れないようにしたいと思います。今回も写真をほぼ撮らなかったので、もらいものがほとんどです。マルチプルコアラ―による採泥など、普段プランクトンを扱うと行わない観測も経験できました。



桜島を眺めながら鹿児島を出航。とにかく暑い航海でした。



新型の多層式ネット。船を走らせながら層別にプランクトンを採集します。

今回はこれが上手くいって本当に良かった。



おなじみのCTD。環境DNAやプラスチックのための採水も行います。



プラスチック採集のためのニューストンネット。プラスチックが目的ですが、同時に入る生物を眺めるのも楽しいです。



マルチプルコアラ―による採泥。普段使うことが少ないので新鮮な観測です。



べた凪の海。大きく揺れることなく平和な航海でした。




 

2023年08月02日

環境DNAによる紋別のプランクトンモニタリング

共同研究で行っていた紋別のプランクトンモニタリングの論文がEnvironmental DNA誌から公開されました。オープンアクセスです。


https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/edn3.452

 

紋別では水研機構の長井さんを中心としてメタバーコーディングが一般的になる前から環境DNAの採集が続けられています。今回の論文は実に8年間におよび結果がまとめられたものです。複数のプライマーセットを用いることでプランクトン相が網羅されています。紋別では現地の協力もあり、現在も着々とサンプル・データが蓄積されてきています。

2023年08月02日

東部インド洋シンポジウム

7/6-7/7に大気海洋研で行われたシンポジウム「東部インド洋における海洋物理・生物地球化学・生態系の統合的理解」に参加しました。

 

https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/aori_news/meeting/2023/20230706.html

 

2018年に行われた白鳳丸のKH-18-6次航海の結果を中心に東部インド洋で得られた成果を紹介し、来年度予定されているインド洋航海に活かすことを目的としています。また、オンラインでインドネシアの研究者も参加し、今後の共同研究や航海計画についても話合いました。浮遊生物グループからは平井とZhouが発表し、生物系の話題提供を行いました。

 

Junya Hirai (AORI, U. Tokyo) “Zooplankton diversity in the eastern Indian Ocean based on molecular Approaches”

 

Fanyu ZHOU (AORI, U. Tokyo) “Feeding ecology of three species of euphausiids in the eastern Indian Ocean inferred from 18S V9 metabarcoding”

 

東部インド洋はこれまでプランクトンの研究が少ないですが、我々がフィールドとする太平洋とも海水や生物の交流もあり、多様性研究においては重要な海域となります。今回、物理から生物の様々な話題を聞くことが出来、来年の航海についても具体的なイメージが出来てきました。白鳳丸のインド洋航海はコロナの影響もあり先延ばしになっていましたが、来年度の夏に予定されています。今後の展開も楽しみです。

 

2023年07月08日

今年も紋別に行きました

平井です。今年も北海道紋別市にお邪魔し、サンプリングを行いました。ちょうど6月後半から7月前半は海の水が大きく変わる時期で、宗谷暖流の影響が強くなっていきます。タイミングが難しいのですが、何とか狙っていた種類のカイアシ類が採れたので一安心です。また、今回は博士課程の玉蟲さんも同行し、現在行っているメタバーコーディング解析の高度化に必要な試料の採集を行いましあ。紋別はプランクトンのデータも蓄積され、新たな手法を検証するにも最適な場になります。近々、メタバーコーディング解析によるプランクトン相の長期データの論文も公開されそうですし、今後の展開もますます楽しみです。また、北海道民友新聞さんに取材してもらい、今年公開したPseudocalanusの論文について記事にしてもらいました。なかなか忙しい時期で難しいことが多いのですが、次は流氷シーズンでしょうか。タワー周辺で気になっていたゲルキャンプもやっているようなので、仕事関係なくプライベートでもきてみたい所です。

 

 

オホーツクタワーでの動物プランクトン採集。



採った動物プランクトンは研究室内で処理したり観察したりします。




時にはサンプリング前にタワーのカフェでコーヒータイムも。

メニューがいつのまにか増えてました



今回は家族用に活きたホタテをそのままお土産にしてみました

2023年07月03日

寄生性カイアシ類のウイルス論文

助教の平井です。カナダに留学していた際に関わった寄生性カイアシ類のRNAウイルスに関する論文がPLOS Pathogensから公開されました。

 

Chang T, Hunt BPV, Hirai J , Suttle C (2023) Divergent RNA viruses infecting sea lice, major ectoparasites of fish. PLOS Pathogens 19: e1011386.


https://journals.plos.org/plospathogens/article?id=10.1371/journal.ppat.1011386

 

寄生性カイアシ類は成体になると魚などにくっつく寄生生活を送りますが、幼体時は浮遊生活を送っています。今回調べた調べた寄生性カイアシ類はサーモンに寄生し、時に甚大な被害をもたらします。普段は寄生する側として着目されつことの多い寄生性カイアシ類ですが、今回は寄生生物の寄生生物ということでウイルスに着目しています。網羅的なRNA解析を行ったところ、30を超える新規ウイルスが発見され、中にはこれまで真菌や植物のウイルスと考えられるものも含まれていました。また、small RNAやストランド特異的なRNA解析をすることで、これらのRNAウイルスがカイアシ類内で複製し、カイアシ類はこれらの感染に対する防衛システムを有する可能性も示してます。カイアシ類は海洋で非常に多くの種がおり、被食ー捕食、共生―寄生を通して多くの生物群と密接に関わり、ウイルスの進化を議論する上でも重要な生物群となりそうです。

 

研究内容はUniversity of British Columbiaからも紹介されています。

 

https://science.ubc.ca/news/are-viruses-keeping-sea-lice-bay-wild-salmon

2023年06月26日

海洋マイクロバイオームワークショップ

助教の平井です。6/16京都大学化学研究所で開催された海洋マイクロバイオームワークショップに参加しました。

内容の詳細は主催者である京都大学緒方先生のホームぺージで公開されています。


こちら

 

普段はプランクトンや海洋学の集まりに出る事が多いのですが、普段のコミュニティーでは聞けない話ばかりで刺激的でした。懇親会までも非常に盛り上がり、非常に有意義な時間でした。地球規模のプランクトン調査で有名なTara Oceansとの連携も視野にいれており、今後の展開も非常に楽しみです。

2023年06月17日

メタバーコーディング共著論文

平井です。共著で入っていた日本周辺の動物プランクトンのメタバーコーディングに関する論文がPeerJから公開されています。

 

https://peerj.com/articles/15427/

 

重要種のメタバーコーディング参照配列を追加し、メタバーコーディングの精度がどれほど検証するかを検証しています。参照配列の充実度については国際WGのMetaZooGene Database (https://www.st.nmfs.noaa.gov/copepod/collaboration/metazoogene/atlas/index.html) でも情報が整理されてますが、日本周辺海域を含む西部北太平洋は各種の配列登録が必要な地域の一つです(それでもインド洋や南太平洋に比べるとデータは多いですが)。参照配列の追加は時間・労力がかかるため敬遠しがちなのですが、今回の論文でも報告しているようにメタバーコーディングの精度向上には参照配列の充実が必須です。今後も各種の遺伝子配列の蓄積を少しずつでも進めていかなくてはいけません。

 

2023年06月07日

2023年度メンバー

一戸さんと菅さんの2名が就職のため研究室を離れました。4月からは博士課程に張茜さんが入学しました。津田教授は東京大学の理事となり、大気海洋研究所の教授職は兼務となります。


変わらず小規模な研究室ですが、少数精鋭で今年度も頑張っていきたいと思います。コロナでここ数年行っていませんでしたが、先週は新メンバーを含めて久々に柏の葉公園でお花見をしました。写真を撮り忘れたのが残念です。

2023年04月12日

インターンシップの開催

年度末は学会関連行事や卒業・入試などイベントが盛り沢山ですが、最後の行事であるインターンシップが3/29-3/31に開催されました。今回は3名の学生が参加し、黒潮域の動物プランクトンの群集構造を形態・遺伝子から明らかにするのが目的です。初日に動物プランクトンの一般的な知識を座学で学び、その後は形態分類により可能な範囲で各生物群の計測を行います。2日目は遺伝子解析実験で、群集からのDNA抽出、目的領域のPCR増幅を行い、最終日はインフォマティクスによりメタバーコーディングデータを解析し、形態分類の結果と比較しました。最近は遺伝子解析に関する研究も増えてきてますが、参照配列がないと分類できない事、これまで形態分類で得られてきた個体数の絶対量のデータは得られないなどの課題もあります。インターン生は実際に異なる手法に触れることで、それぞれの良さを理解できたことかと思います。2022年度もあっという間に終わり、4/1からは新年度がスタートします。来年度もどうぞよろしくお願いします。4/29には進学ガイダンスも開催されますので、興味がある方は是非お越しください。

 

 

実験室での一コマ。先輩学生の始動の下にDNA抽出を進めます。


メタバーコーディングデータの解析。

生物系の学生は馴染みがないコマンド入力が必須ですが、最終的には皆さん大量の遺伝子配列データから群集構造を復元することができました。


 

 

 

 

 

2023年04月02日

Maryさん滞在

AORIの卒業生でもあり、西田周平先生の教え子でもあるMaryさんが来日しています。現在はフィリピンのアクラン州立大学に勤務し、動物プランクトンの研究を進めています。今回はSCOR WG MetaZooGeneの活動の一貫でメタバーコーディングのトレーニングのための来日です。フィリピン周辺海域は非常に豊かな種多様性を誇るcoral triangleに位置しているにも関わらず、研究はあまりされておらず、動物プランクトンも未知なる種が多く存在すると考えられます。将来的にメタバーコーディングの技術が導入されることでこれまで知られてない多様性像が見れることが期待されます。

 

 

実験風景。最後にあったはノルウェーの学会なので7-8年ぶりでしょうか。

運よくサクラ満開の季節の来日です。

 

 

 

2023年04月01日

学位取得

浮遊生物グループでは周凡煜さんが博士号、管凌楓さんと玉蟲奈佳子さんが修士号を今年度取得されました。おめでとうございます!


博士論文

周凡煜「Community structure and feeding ecology of euphausiids in the low-latitude Indian and Pacific Oceans(インド洋および太平洋低緯度域におけるオキアミ類の群集構造と摂餌生態)」

 

修士論文

管凌楓「Horizontal and vertical distribution of microplastics in the Kuroshio region(黒潮域におけるマイクロプラスチックの水平および鉛直分布)」

玉蟲奈佳子「インド洋・太平洋低緯度域における動物プランクトン群集のメタバーコーディング解析」


2023年03月21日

海洋生物シンポジウム


日本海洋学会海洋生物学研究会の7回目のシンポジウム「海洋生物シンポジウム2023」が3/20に東京海洋大学で開催されました。今回は久々の対面開催、オンラインを合わせると100名を超える方々が参加しました。浮遊生物グループからも飴井・玉蟲の2名が発表しました。

 

飴井佳南子・平井惇也・西部裕一郎
分子生物学的手法を用いた太平洋・東部インド洋におけるオヨギゴカイ科の種多様性の解明


玉蟲奈佳子・平井惇也・大西拓也・周凡煜・津田敦
インド洋・太平洋低緯度域における動物プランクトン群集のメタバーコーディング解析

 

 

飴井さんの浮遊性多毛類の種多様性に関する発表を行いました。

 

 

玉蟲さんは修士論文の内容でもある太平洋・インド洋広域の動物プランクトンのメタバーコーディングに関する発表を行いました。

 

 

シンポジウムの様子。

 

 

浮遊生物グループは本シンポジウムの運営にも関わりました。初の対面+オンラインのハイブリッド開催であり不安もありましたが、大きな問題もなくシンポジウムを終える事が出来ました。多くの方から対面で話す機会が持てて良かったとのコメントをもらえたのが何よりで、研究室OBとも久々に会うこともできました。シンポジウムは来年度も開催予定で、引き続き運営には関わります。1年後、再び会場でお会いできるのを楽しみにしています。

 

 

2023年03月20日

ハワイ出張

2/9-2/23に研究室から平井・飴井が共同研究のためハワイ大に出張しました。ハワイ大では共同研究者Erica Goetzeのラボに滞在し、飴井さんのテーマである浮遊性多毛類の多様性研究のための実験、これまで共同で進めてきたカイアシ類の生物発光関連遺伝子に関する研究打ち合わせ等を行いました。また、ラボセミナーで研究紹介を行い、貴重な意見をもらうこともできました。コロナの影響で特に海外渡航は難しい状況が続いてましたが、最近はこのような国際的な活動も再開されつつあります。対面だとメールベースでは難しい近況報告であったり、最近の研究活動について深く話すことが出来て非常に有意義な時間でした。

 

 

 

世界中の海の浮遊性多毛類を集めます

 

 

ほとんど実験室かつ雨の日が続きましたが、貴重な晴れの日に休みが重なりダイヤモンドヘッドへ。

円安やコロナの影響か日本人は少ない印象。

 

 

おすすめ・・らしいキャンパス内のカレー。具が玉ねぎ、ジャガイモ、人参なので親近感が沸きます。

 

 

最後にEricaと。自撮りはどうも苦手です。

 

 

 

 

 

 

 

2023年02月24日

オホーツク海のP. acuspes論文

オホーツク海で行ったカイアシ類Pseudocalanusの研究の論文が公開されました。


Hirai J, Katakura S, Nagai S (2023) Comparisons of genetic population structures of copepodsPseudocalanusspp. in Okhotsk Sea: first record of P. acuspesin coastal waters off Japan. Marine Biodiversity, 53: 12.


https://link.springer.com/article/10.1007/s12526-022-01323-y


日本周辺海域でPseudocalanus acuspesが初めて確認されたことを報告し、他の2種のPseudocalanus(P. newmani, P. minutus)とともに広域の集団遺伝解析を行いました。その結果、P. acuspesは初めて見つかっただけでなく、オホーツク海の集団は北極海の集団と遺伝的に異なることが明らかになりました。この結果は従来法のミトコンドリアCOI領域を対象とした解析では出なかったのですが、ゲノムワイドな手法であるMIG-seqという方法を使うことで見ん出すことが出来ました。3種の比較ではより外洋よりの分布をするP. minutusでは地域間で明確な集団構造が確認されず、同属内でも生態により集団構造の形成パターンが異なることが明らかとなっています。

 

実はこの研究、もともと行う予定はなかったのですが、紋別でP. newmaniの研究をする中でたまたまP. acuspesが見つかり行った研究になります。意図しないところから生まれた研究ですが、無事成果として世に送り出すことができました。今後は近縁種P. newmaniとP. acuspesのオホーツク海における生態や形態的な違いについても研究が進むことが期待されます。

2023年01月20日

サフィリナの新種記載論文

平井です。共著者として参加した下記の新種記載の論文が公開されました。


Takahashi K, Itoh H, Hirai J, Tadokoro K, Nishiuchi K (2022) A new species of genus Sapphirina(Copepoda, Cyclopoida) from the Kuroshio Extension region in the western North Pacific Ocean. Plankton and Benthos Research, 17: 358-368.

論文では移行域に主に分布が確認されている新種Sapphirina doliolettaeを報告しています。この種名はウミタルDoliolettaを捕食することが報告されていることからきています(Takahashi et al. 2013)。自分は途中参加で遺伝子解析を担当し、COIと18Sの配列取得、同属の種との比較を行いました。データベースにあるサフィリナの18Sがほぼ全長だったので、今回はじめてプライマーウォーキングで18Sのほぼ全長を取得してみました。思ったよりも簡単に配列が取得出来たので、メタバーコーディングの参照配列として18Sは長い配列を取得してもよさそうです。また、思ったよりデータベース上に配列がなく、参照配列登録もまだまだ頑張らないといけなそうです。論文はオープンアクセスで閲覧可能です。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/pbr/17/4/17_P170402/_article/-char/en

2022年11月30日

Oceanテック2022

助教の平井です。秋の学会ラッシュもひと段落付いて比較的落ち着いた時間を過ごしていましたが、すっかり研究室の報告はサボっていました。10~11月にかけて秋の進学ガイダンスがあったり、教授の誕生日会をしたり、卓球大会が始まったりと色々とあったのですが。。

11月22日は柏キャンパスで行われたOceanテック2022に参加しました。

http://ecosystem.aori.u-tokyo.ac.jp/OceanDNAtech/index.html

このシンポジウムは文部科学省「海洋資源利用促進技術開発プログラム」の研究課題「海洋生物遺伝子情報の自動取得に向けた基盤技術の開発と実用化」の活動の一貫であり、私達のグループも動物プランクトンの解析技術、特にメタバーコーディングの高度化やその参照配列の蓄積を行ってきました。シンポジウムではプランジェクトの核でもあるJAMSTEC福場さんの開発した環境DNAの自動サンプラーや解析装置の発表および実物の展示があり、今後ベンチャーとして販売されることも紹介されました。小型かつ遠隔で操作も可能になるとのことで、今後の環境DNA解析でも活用されることかと思います。また、会場とオンラインを合わせると150名近くの参加があり、個人的にも有用なフィードバックをもらい有意義な会となりました。プロジェクト自体は今年度で終了しますが、今後もシンポジウムの開催などを通じて情報発信は継続される予定です。

2022年11月23日

MetqaZooGene symposium 2022

9/23にダブリン(アイルランド)で行われたMetaZooGene symposium 2022が行われ、平井とZhouが参加・発表しました。このシンポジウムは2019年から活動している国際ワーキンググループの活動の一環ですが、動物プランクトンの分子生態学を専門とする世界各地の研究者が参加しています。コロナの影響で対面開催が難しい状況が続いてましたが、国際学会を中心に現地開催またはオンラインとのハイブリッド開催が再開しつつあります。個人的にも現地で参加するのは2020年2月に行われたOcean Science Meeting以来で、実に2年半ぶりです。発表を聞くだけでは得られたい生の声であったり、コーヒー休憩なんかで行われる議論の重要さを再認識しました。同じような研究の悩みを共有できたり、将来の方向性とかも話せて事情に有意義な会でした。

 

Zhouさんの口頭発表。メタバーコーディングを用いたオキアミの食性解析について発表しました。遺伝子解析技術を用いた動物プランクトンの食性解析は近年盛んに行われるようになり、発表後も議論で盛り上がりました。また、これまでの研究の方向性も間違っていなかったと再認識できる機会になりました。


集合写真。現地参加の数は多くないですが、その分議論が活発に行われました。



アイルランドといえばアイリッシュパブ。日本人にはちょっと量が多い。

2022年09月27日

汐路丸航海

8/5-8/12に行われた東京海洋大学の汐路丸航海に平井と飴井が参加しました。汐路丸は海洋大学の新しい船で、新しい日本周辺の海洋モニタリングが予定されてます。学外者ではありますが、少しだけ動物プランクトンの分野で関わらせていただくことになり、記念すべき1回目のモニタリング航海にも参加しました。

ノルパックネットによる採集。遺伝子・形態分析用のサンプルを採集します。


ORIネットにはこんな生き物も。ミツクリエナガチョウチンアンコウでしょうか?

浮遊性多毛類を探す飴井さん。壊れやすい生物なので、取り立てのサンプルを撮影して形態的特徴を記録します。

ORIネットに入ったクロデメニギスに集まる人々。

コロナによる出航の延期、予定航路への台風直撃などもありましたが、海洋大の皆様のおかげで動物プランクトンのサンプルは無事に採集できました。また、練習船や実習公開への乗船は初めてでしたが、規則正しい生活やラジオ体操で少し健康になった気がします。今後、モニタリングを通じて少しでも貢献できればと考えています。

2022年08月20日

紋別サンプリング

助教の平井です。今年度も紋別のオホーツクタワーで採集を行いました。6月の紋別は暖かい宗谷暖流の影響が強くなり、水が入れ替わる時期です。その時期に起こるとある現象を捉えるのが狙いですが、滞在した6/3-6/6はまだ水が完全に入れ替わる前にあたります。5月は中旬までは北海道も大変暑く水温上昇も例年にくらべ早いとの話でしたが、滞在中は気温も毎日10度以下と低くあいにくの雨。6月にしては厳しい環境でしたが、なんとか予定通りのサンプリングは行えました。次は水の入れ替わりが進んだ6月の後半にも調査予定です。



今回の目的種の1つであるカイアシ類Pseudocalanus newmani
冷水性のカイアシ類で紋別では夏季になると季節的に消失します



最近、色々と共同研究を進める中で自分の研究対象以外にも目が行くようになってきました。写真は海産ミジンコEvadone。海産ミジンコは種類は多くないですが、沿岸域では一般的な動物プランクトンです。

 

 

カニのゾエア幼生。初日にはプランクトンネットを曳くと大量に入りましたが、2日目以降はがくっと数が減り沿岸生態系のダイナミックな変化を感じることができました。

 

 

ホタテ。紋別のホテルに泊まると朝は刺身が食べ放題です。
今年は甘みがあって特に美味しいとのことで、魚屋で買って家族へのお土産にしました。



2022年06月06日

新種記載:Paracalanus orientalis n. sp.

助教の平井です。新種のカイアシ類Paracalanus orientalisを記載した共著論文が公開されましたのでお知らせします。


Ueda H, Itoh H, Hirai J, Hidaka K (2022) Paracalanus orientalisn. sp. (Copepoda, Calanoida), formerly referred to P. parvusin Japanese coastal waters. Plankton and Benthos Research, 17: 221-230.

今回記載されたParacalanus orientalisは日本周辺の沿岸域で優占し、マイワシ等の仔稚魚期の重要な餌となる1ミリ程度の小型カイアシ類です。生態学的にも非常に重要な種なのですが、形態的な分類が困難で、大西洋で記載されたParacalanus parvusと形態的に近縁であることから広義のParacalanus parvusParacalanus parvus sense lato)と呼ばれてきました。以前出版した論文(Hidaka et al. 2016)では形態及び遺伝子解析を行い黒潮域で優占する種が未記載種(Paracalanus sp. NWP)であることを報告していましたが、今回の論文を通じて正式に種名がつくことになります。ちなみに種名はラテン語で東部を意味するorientに由来していて、日本周辺を含む西部北太平洋に分布する種の特徴を表したものになります。正式に種名がつくことで生態学的な研究がさらに発展すればと思います。

2022年05月31日

Metridiaの論文公開

北太平洋のカイアシ類Metridia pacificaの分類学的問題を解決した論文が出版されました。

 

Junya Hirai, Fang Chen, Hiroshi Itoh, Kazuaki Tadokoro, Matthew A Lemay, Brian P V Hunt, Atsushi Tsuda, Molecular and morphological analyses to improve taxonomic classification of Metridia lucens/pacifica in the North Pacific, Journal of Plankton Research.


Metridia pacificaは北太平洋に分布する浮遊性カイアシ類ですが、体サイズの変異が大きく2型が存在することが指摘されていました。そこでM. pacificaを対象に形態及び遺伝子解析を行ったところ、M. pacifica と分類されてきた個体に近縁種M. lucens が含まれることが明らかとなりました。また、東部北太平洋では小型のM. pacifica が便宜的にM. pseudopacificaと呼ばれていましたが、これはM. lucens と同一であることが分かりました。成体雌で従来M. pacifica とM. lucensを分ける第五脚末節の刺毛の長さは北太平洋の個体に適用できず、一方で体長と頭部角度から2種を判別可能であることを論文中では示しています。今後これらの分類形質をモニタリングに適用することで、海洋生態系の変化をより高精度に検出可能になると期待しています。

2022年04月30日

インターン

3月29~31日の3日間、「大気海洋科学スプリング・インターンシップ」を開催しました。浮遊生物分野では2名の受講生が参加し、顕微鏡観察およびメタバーコーディングによる動物プランクトンの群集構造解析を行いました。研究室としてはインターンをはじめて2年目で、教えながらもこちらもバタバタとしてしまいましたが・・意欲ある学生と時間を出来る貴重な機会でもあります。1日目は黒潮内側と外側のプランクトンネット試料を用いて顕微鏡観察を行い、可能な限りの分類・計測を行い、2日目~3日目は同じ地点で採れた試料のメタバーコーディング解析を行い結果を比較しました。伝統的な方法から最近の方法まで、手法の違いや利点・弱点などを理解してもらえたかと思います。また、なにより多様なプランクトン、黒潮を挟んだ生物相の変化など生態系の奥深さに触れてもらうことは出来たかと思います。写真は取り忘れました。来年はちゃんと撮ります。

2022年04月01日

シンポジウム

浮遊生物分野のメンバーが運営に関わる以下のシンポジウムがオンラインで開催されました。

日本プランクトン学会シンポジウム 「海洋プラスチック研究の最前線」


海洋生物シンポジウム2022

 

研究室メンバーも口頭発表を行っています。


〇山下麗,小川浩史,伊藤進一,松村義正,津田敦
対馬周辺のマイクロプラスチック

〇平井 惇也, 片倉 靖次, 長井 敏.
オホーツク海における浮遊性カイアシ類Pseudocalanus acuspesの初記録および遺伝的集団構造の近縁種比較

 

 

海洋学会・プランクトン学会ともにオンラインでのシンポジウムが続いています。気軽に参加でき旅費もいらない一方、発表者側となると深い議論は対面のほうがやりやすいと感じています。来年度はハイブリッド形式がメインになると思います。運営は大変でありますが、オンライン・対面の良さを残すのが今後の課題になりそうです。




2022年03月21日

白鳳丸KH-22-5次航海

3月6~17日の白鳳丸習熟航海(KH-22-5)が無事に終了しました。冬の黒潮域とのことで海況が心配されましたが、幸運なことに天候に恵まれ測器の試験、多くのサンプル採集をこなすことができました。浮遊生物分野は主にネット班としてプランクトン、マイクロネクトン、またマイクロプラスチックの採集を行いました。慣熟航海のため、ニューストンネット、ノルパックネット、VMPS6000D、マルチネット、ORIネット、MOHTと多くの測機も使用することに。準備や片づけも大変ですが、特に今回初乗船となったM1の菅さん、玉蟲さんはいい経験になったかと思います。帰ってからの解析が大変なのが生物観測ですが、来年の修士論文にも役立ついい試料が得られたと思います。また、今回は白鳳丸としては珍しく生態系動態部門(微生物・底生生物・浮遊生物)を中心に学内メンバーが多く占める航海でした。コロナの影響で普段はなかなか交流が難しいのですが、お互いどんな研究をしているのか、どんな観測が必要なのかもわかり実りの多い航海でした。





調査海域。天候に恵まれ多くの測点で観測ができました。



ネット班。初乗船のM1玉蟲さん、菅さんも頑張りました。

ニューストンネットのサンプルには軽石や一部で話題のサギフエ仔魚も




集合写真




採集の様子は遺伝子変動分野の吉澤さんが撮影し、Youtubeにもアップしてくれています!

 

https://youtu.be/DYq_bVBE6mU

 

 

2022年03月18日

白鳳丸習熟航海

3月6日から3月17日にかけて白鳳丸習熟航海が沖縄周辺海域で行われ、浮遊生物分野からは西部・山下・平井・菅・玉蟲の5名が参加します。白鳳丸は大規模な改修が行われていたため、今回は久々の乗船です。感染症対策のため鹿児島のホテルに5日間待機し、PCR検査も3回行い万全の対策を取った後の乗船となります。今回は動物プランクトン・マイクロネクトンの他、マイクロプラスチック採集も行います。習熟がメインですが、特に学生には白鳳丸に乗船できる貴重な機会であり、修士論文の重要なデータにもなります。航海後にどのような観測を行ったかを方向したいと思います。改修後の白鳳丸、見た目はそこまで変わっているように見えませんが・・・今後も長く研究のために活躍して欲しいものです。

 

 

鹿児島港停泊中の白鳳丸。煙突の形が変わった以外の違いはよくわかりません。

 

2022年03月05日

動物プランクトンのFLDS

助教の平井です。自身初のの動物プランクトンのウイルス論文がMicrobes and environments誌で公開されました。
RNAウイルスを効率的に検出可能なFLDS(Urayama et al. 2016)という手法を動物プランクトン群集に初めて導入した研究です。

小さなチューブに入れ凍結した動物プランクトン群集から、約200もの新規ウイルスが検出されています。

これまで着目されていない動物プランクトンですが、海洋ウイルス多様性のリザーバーとして重要な役割を持つ可能性があります。

RNAウイルスが動物プランクトンにたらす生態学的意義、動物プランクトンのウイルスの進化など分からないことだらけですが、まずは”たくさんの種類のウイルスがいる”という単純かつ重要なことが分かった第一歩の研究です。

 

たしか最初に共著者の長崎さんに声をかけてもらい高知で話し合い、白鳳丸航海でサンプリングをしたのは2016年。時間はかかったものの、共著者の方々に多大な協力をいただき形にできました。ウイルスは本当に奥が深くて、正直全然勉強が足りません。少しずつですが、動物プランクトンのウイルス研究を進めていければ。論文はオープンアクセスなので、興味のある方は是非ご覧ください。

 


Hirai J , Urayama S, Takaki Y, Hirai M, Nagasaki K, Nunoura T (2022) RNA virosphere in a marine zooplankton community in the subtropical western North Pacific. Microbes and Environments, 37: ME21066.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsme2/37/5/37_ME21066/_article

2022年01月04日

西川さん大林さん来所

少し前になりますが、今月12月はじめに東海大学の西川さんと学生の剣持さん、愛媛大の大林さんが来所されメタバーコーディングの実験を行いました。2日間と短い日程でしたが順調に進めることができ、今後でてくる結果も非常に楽しみです。少しずつでも遺伝子解析を使った動物プランクトンの生態研究が広まればと思います。また、コロナ禍で対面で人と合う機会が限られてますが、やはり研究は対面であーだこーだと話すと楽しいですね。次回は飲み会、昔よく白熱した卓球もやりたいものです。

 

平井

 

大林さんと剣持さんと

 

2021年12月20日

プレスリリース2

平井です。
久米さんとの論文に続き、鹿児島大学の小針さんが筆頭著者の共著論文の成果がプレスリースされました。

https://www.kagoshima-u.ac.jp/topics/2021/12/post-1858.html

黒潮域で動物プランクトンの消化管内容物のメタバーコーディング解析を行っています。

これまで見過ごされていたゼラチナス動物プランクトンの重要性、動物プランクトンの分類群間の細かな食性の差が示されており、非常に読み応えのある論文です。多くの種から丁寧にデータをとることで黒潮域のように複雑な海域でも餌資源の分割があることが分かり、この食物網構造が水産重要種の仔魚期の成長を支えていると考えられます。また、黒潮域は動物プランクトンの種多様性が高い海域ですが、この餌資源の分割が多様性維持にも大きな役割を果たしている可能性もあります。論文公開までの道のりはなかなか大変だったのですが・・・それを含めて成果が公表されたことを嬉しく思います。

Kobari T, Tokumo Y, Sato I, Kume G, Hirai J (2021) Metabarcoding analysis of trophic sources and linkages in the plankton community of the Kuroshio and neighboring waters. Scientific Reports, 11: 23265 .

 

2021年12月10日

特集号

助教の平井です。

SCOR国際ワーキンググループの活動として行われた特集号Patterns of Biodiversity of Marine Zooplankton Based on Molecular Analysisについて、ICES Journal of Marine Scienceからアナウンスがされました。メタバーコーディングを使った動物プランクトンの論文も多く掲載されています。私が伊豆諸島付近の海山で行ったカイアシ類のメタバーコーディング・形態分析の論文も掲載されています。亜熱帯域の海山では生物生産が上がり、Subeucalanus等の大型カイアシ類が増加することを報告しています。今回はRNAベースのメタバ―コーディングも行いましたが、これらの大型種は相対的なRNA量も上昇しており、海山周辺のように餌となる植物プランクトン量が増加する環境に迅速に対応できると考えられます。ワーキンググループの活動、特集号とそのアナウンスは以下で参照可能です。

 

MetaZooGene https://metazoogene.org/

ICES JMS theme set https://academic.oup.com/icesjms/issue/78/9#1302581-6403476

            https://www.ices.dk/news-and-events/news-archive/news/Pages/TSZooplankton.aspx


2021年11月27日

共著論文のプレスリリース

助教の平井です。

鹿児島大学、熊本県立大学と共同研究を行った論文の成果がプレスリースされました。

 

https://www.kagoshima-u.ac.jp/topics/2021/11/post-1851.html


該当の論文(Kume et al. 2021, Frontiers in Marine Science)では北部薩南海域に大規模なマサバの産卵および生育場が形成されることをはじめて報告し、北部薩南海域が日本周辺の小型浮魚類等の水産資源を支えている重要な海域である可能性を示しました。私も微力ながらメタバーコーディングによる仔魚の食性解析に関与しています。論文はオープンアクセスでどなたでも閲覧可能です。

 

Kume G, Shigemura T, Okanishi M, Hirai J , Shiozaki K, Ichinomiya M, Komorita T, Habano A, Makino F, Kobari T (2021) Distribution, feeding habits, and growth of chub mackerel, Scomber japonicus, larvae during a high-stock period in the northern Satsunan area, southern Japan. Frontiers in Marine Science, 8:725227.

 

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2021.725227/full

 

 




2021年11月23日

海洋学会将来構想

浮遊生物分野も関わった海洋学会将来構想の総説論文が海の研究に公開されました。

オープンアクセスなので、興味のある方は是非ご覧ください。

 

https://kaiyo-gakkai.jp/jos/publications/uminokenkyu

 

 

プランクトンの種多様性の維持機構(なぜ同所的に高い多様性が維持されているのか?)について中緯度域の論文で言及しています。

また、近年の海洋学の発展に貢献している新たな手法、海洋に関わる問題の取りまとめと行っています。


2021年11月17日

オキアミの食性論文

博士課程2年のZhouさんの論文がFrontiers in Marine Science誌に掲載されました。

 

Zhou F , Hirai J , Hamasaki K, Horii S, Tsuda A (2021) Feeding ecology of three euphausiid species in the North Pacific Ocean inferred from 18S V9 metabarcoding and stable isotope analysis. Frontiers in Marine Science,

 

北太平洋のカリフォルニア海流、亜熱帯循環のオキアミの群集構造を調べ、優占種に着目したメタバーコーディング・安定同位体を用いた食性解析を行っています。貧栄養の亜熱帯域におけるオキアミ食性の研究例は特に少なく、貴重な知見になります。オープンアクセスなので興味のある方は論文をご覧ください。

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2021.756067/abstract

2021年10月13日

シンポジウムの開催

助教の平井です。9/20にシンポジウム「次世代プランクトン研究を開拓する新技術・方法論」をオンラインで開催しました。プランクトン研究は古くから行われていますが、顕微鏡観察による形態分類など、伝統的な手法は高度な専門知識や労力が必要となります。そこで近年導入されつつある研究技術を紹介してもらい、プランクトン研究にブレイクスルーを起こせないか・・・というのがシンポジウムの趣旨です。トピックは画像解析、遺伝子解析、モデル、安定同位体、センサーなど多岐にわたり、主催した自分自身も大変勉強になりました。画像解析付きのフロートであったり、すでに技術の融合も進んでいるようです。また、伊藤さんの「プランクトン研究にもっとモデルを!」の言葉は大変印象的でした。専門分野はどんどん細分化していきますが、広い視野をもったり、これまでの学会の枠組みに捕らわれないことは重要ですね。個人的には遺伝子解析を使った動物プランクトンの発表をしましが、このシンポジウムを機に新たなコラボレーションも生まれそうです。日本では分子生物学的手法の導入が遅れていますが、もう少し広まるように頑張りたいと思います。今回このシンポジウムのきっかけを与えてくれた鹿児島大学の小針さん、また時には100名近くと参加してくれた皆さん、また何より話題提供してくれた発表者の皆さんには感謝です。決して新しい技術だけがいいという訳ではないですが、新技術を使うことでこれまで見えなかったことが見えるのも事実です。最後の総合討論でも議論がありましたが、今後も総説やワークショップの開催、またさらにパワーアップして同様のシンポジウムを開催できればいいなと思います。

 

・発表題目


- 海洋生物遺伝子情報の自動取得に向けた基盤技術の開 濵﨑恒二(東京大学大気海洋研究所)
-プランクトン自動画像解析技術の現状 北島 聡(水産研究・教育機構)
-分子生物学的手法を用いた動物プランクトンの多様性研究 平井惇也(東京大学大気海洋研究所)
- 安定同位体比で食物連鎖を紐解く 野口真希(海洋研究開発機構)
-一般化線形モデルを使った動物プランクトンの分布生態研究-サンマとその餌となるプランクトンを例に- 宮本洋臣(水産研究・教育機構)
-プランクトン群集とtrait-based modeling 伊藤幸彦(東京大学大気海洋研究所)
-分子手法を用いた海洋植物プランクトン生態系の評価 遠藤 寿(京都大学化学研究所附属バイオインフォマティクスセンター)
-アルゴフロートを利用したプランクトンの生態学的研究 藤木徹一(海洋研究開発機構)
-遺伝子発現解析によるプランクトンの生理・生態学的研究 大西拓也(水産研究・教育機構)
-動物プランクトン生産力を評価する生化学的アプローチ:タンパク質合成酵素活性 小針 統(鹿児島大学水産学部)

2021年09月21日

学会発表

毎年の事ですが、9月は学会ラッシュです。浮遊生物分野は人により所属学会も異なりますが、多くの人は日本海洋学会や日本プランクトン学会で発表を行ってます。国際学会だとPICESやAquatic/Ocean Science Meetingでしょうか。私平井も今年は久々に一般講演での発表も行いました。シンポジウムを併せると一週間で4件の発表なので少しきつかったですが、オンラインながらもフィードバックをもらえました。やはり学会発表は大事だし、自分の考えもまとまります。昨年は自分が運営だったり、2~3年前は在外研究で日本にいなかったりと、よく考えたら本当に久しぶりの国内の学会発表でした。

 

• 平井惇也,宮正樹,藤木徹一,吉田聡,乙坂重嘉,帰山秀樹,加古真一郎,片岡智哉,松岡大祐,日高弥子,杉山大祐,小嶌不二夫,海洋学会将来構想2021: 新たな手法と問題,日本海洋学会創立80周年記念シンポジウム -日本の海洋学の今とこれから-,オンライン開催,9月,(2021)
• 平井惇也・片倉靖次・長井 敏,ウイルス存在下におけるカイアシ類Pseudocalanus newmaniの網羅的遺伝子発現解析, 日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会, オンライン開催, 9月, (2021)
• 平井惇也・片倉靖次・長井 敏, 浮遊性カイアシ類Pseudocalanus newmaniから検出された2種のウイルスの生態学的挙動, 日本海洋学会秋季大会, オンライン開催, 9月, (2021)
• 平井惇也, 分子生物学的手法を用いた動物プランクトンの多様性研究, 日本プランクトン学会シンポジウム「次世代プランクトン研究を開拓する新技術・方法論」, オンライン開催, 9月, (2021)

 

海洋将来構想は近日中に海の研究に論文も掲載予定です。また、シンポジウムは拡大要旨集として来年初めの日本プランクトン学会報に掲載される予定です。ウイルス研究もだんだんと成果がでてきたので、早く論文化できればと思っています。

 

平井

 

 

 

2021年09月19日

成果報告会

半年に一度の成果報告会も行いました。今回は感染症対策をしっかりとした上での対面開催で、丸一日使いこの半年の研究成果や今後の展開について全員が発表し、議論を行いました。発表は学生は10-20分ですが、人によっては議論が盛り上がって質問時間が30分を超えることも。久々に一日かけて研究の深い話をして疲れましたが、非常に有意義な議論が出来たと感じます。学会もそうですが、やはり定期的に研究成果をまとめ、周りからのフィードバックをもらうことは大事です。以前は成果報告後に打ち上げを行うのが定番でしたが、流石に今回は打ち上げなしで。この夏は恒例のバーベキューも出来ず終いです。成果報告とは別に飲みの席でも研究の話は盛り上げるし、意外と話してるときに良い発想であったりアイデアは生まれるものです。以前としてコロナの影響は大きいですが、この状況下でも研究活動はなんとか維持できていることには感謝しなくてはいけません。。

2021年08月19日

2020年度日本古生物学会論文賞

博士課程の一戸さんの共著論文が2020年度日本古生物学会論文賞を受賞しました。

おめでとうございます。


受賞論文

Shiino, Y., Kurihara, T., Ichinohe, R., Kishimoto, N., Yoshino, T. and Matsuoka, A (2020) A Morphological Analysis of the Flat-Shaped Spumellarian Radiolarian Dictyocoryne: Morpho-Functional Insights into Planktonic Mode of Life. Paleontological Research, 24(2), 134-146.

下記日本古生物学会HP
http://www.palaeo-soc-japan.jp/awards/

2021年07月14日

紋別再訪問

7月2-4日の3日間、紋別を再訪問しました。今年は3回目です。

先月に引き続き、動物プランクトンの採集と海水の採水が目的です。

研究対象のカイアシ類は夏季は出現しなくなるので、今回は季節的消失の直前の時期を狙っています。

この時期は面白い結果がでてきているのですが、詳しくは秋の学会で発表できればと考えています。

 

また、やはり実際に現場行って生物を見ていると色々とアイデアや疑問が浮かんできます。

パソコン前で過ごす仕事が年々増えてきていますが、生きているプランクトンと向き合う時間も大事だと再認識しました。

 

今回も紋別市やオホーツクタワーの方々には大変お世話になりました。

しばらくは採集した試料の解析に時間がかかりそうですが、また機を見て訪問できればと思います。

 

 

オホーツクタワーに7月から新たにカフェがオープンしていました。

あいにくの曇り空でしたが、海を名が眺めながら美味しい挽き立てのコーヒー、ワッフルを味わうことができます。



平井



2021年07月04日

Oceanテック2021

助教の平井です。

6月30日に渋谷QWSで開催された「OceanDNAテック2021 環境DNA技術はどこまで進むか?」に参加しました。

 

https://shibuya-qws.com/oceandnatech2021

 

環境DNA解析は魚類や哺乳類を中心として、直接捕獲が難しい生物の検出を可能にする技術として近縁急速に注目を集めています。

ワークショップ内では環境DNAの自動採集・解析装置や実際に環境DNAを使った魚類相の研究についての発表があり、最新の技術や研究成果、また現状の課題などが議論されました。特に印象的であったのは環境DNA解析を受託する企業の発表です。研究者はよりよい研究成果をだすことに目が行きますが、企業は同時に利益を出さなければなりません。色々と考えることも多いですが、環境DNAの将来性について再確認できる充実の内容となりました。

 

私は動物プランクトンのメタバーコーディングについての発表をして、広域調査から食性解析、モニタリングへの導入など適用例について紹介をしました。動物プランクトンはプランクトンネットも用いると比較的容易に個体が採集可能なため、大型生物に比べると環境DNA解析のメリットは少ないです。一方、同じ環境DNA試料からバクテリア~鯨までの分類群を横断した解析が可能なのは環境DNAの大きな強みとなります。また、ネット採集では見れない細かなスケールの動物プランクトンの空間的なすみ分けも解析可能であると期待しています。



微生物分野、濱崎先生による趣旨説明。

渋谷駅からすぐの15階の会場で、渋谷の街を見渡せるお洒落な空間でした。

2021年07月02日

オホーツクタワーでの採集

助教の平井です。

6/4-6/7に北海道紋別市ににあるオホーツクタワーで動物プランクトンの採集を行いました。

紋別市との共同研究で動物プランクトンのモニタリング、また昨年度からは寄生者に関する研究を進めています。

初日はあいにくの荒天でしたが、2日目以降はタワーでの観測もでき、目的とする採集や飼育実験を行うことができました。

成果の一部は秋の学会で発表できればと思います。

 

採集を行ったオホーツクタワー

CTDや各種ネットを用いたモニタリングが行われています。



研究対象の一つであるカイアシ類Pseudocalanus newmani 。


2021年06月07日

ホームページが新しくなりました

2021年度も始まり既に2カ月ほど経ってしまいましたが、浮遊性生物分野のホームページを新しくしました。

内容はあまり変わりませんが、今後は更新頻度をあげて研究室のか活動を報告したいと思います。

2021年度、浮遊生物分野に管凌楓さん、玉蟲奈佳子さん(修士課程)の2名が新たに加わりました。

2020年度まで特任研究員として在籍していた大西拓也さんは水研機構に異動、修士過程で在籍していた陳さんは就職し中国に帰国しました。

 

2021年05月25日