オホーツク海のP. acuspes論文

オホーツク海で行ったカイアシ類Pseudocalanusの研究の論文が公開されました。


Hirai J, Katakura S, Nagai S (2023) Comparisons of genetic population structures of copepodsPseudocalanusspp. in Okhotsk Sea: first record of P. acuspesin coastal waters off Japan. Marine Biodiversity, 53: 12.


https://link.springer.com/article/10.1007/s12526-022-01323-y


日本周辺海域でPseudocalanus acuspesが初めて確認されたことを報告し、他の2種のPseudocalanus(P. newmani, P. minutus)とともに広域の集団遺伝解析を行いました。その結果、P. acuspesは初めて見つかっただけでなく、オホーツク海の集団は北極海の集団と遺伝的に異なることが明らかになりました。この結果は従来法のミトコンドリアCOI領域を対象とした解析では出なかったのですが、ゲノムワイドな手法であるMIG-seqという方法を使うことで見ん出すことが出来ました。3種の比較ではより外洋よりの分布をするP. minutusでは地域間で明確な集団構造が確認されず、同属内でも生態により集団構造の形成パターンが異なることが明らかとなっています。

 

実はこの研究、もともと行う予定はなかったのですが、紋別でP. newmaniの研究をする中でたまたまP. acuspesが見つかり行った研究になります。意図しないところから生まれた研究ですが、無事成果として世に送り出すことができました。今後は近縁種P. newmaniとP. acuspesのオホーツク海における生態や形態的な違いについても研究が進むことが期待されます。

2023年01月20日