シンポジウムの開催

助教の平井です。9/20にシンポジウム「次世代プランクトン研究を開拓する新技術・方法論」をオンラインで開催しました。プランクトン研究は古くから行われていますが、顕微鏡観察による形態分類など、伝統的な手法は高度な専門知識や労力が必要となります。そこで近年導入されつつある研究技術を紹介してもらい、プランクトン研究にブレイクスルーを起こせないか・・・というのがシンポジウムの趣旨です。トピックは画像解析、遺伝子解析、モデル、安定同位体、センサーなど多岐にわたり、主催した自分自身も大変勉強になりました。画像解析付きのフロートであったり、すでに技術の融合も進んでいるようです。また、伊藤さんの「プランクトン研究にもっとモデルを!」の言葉は大変印象的でした。専門分野はどんどん細分化していきますが、広い視野をもったり、これまでの学会の枠組みに捕らわれないことは重要ですね。個人的には遺伝子解析を使った動物プランクトンの発表をしましが、このシンポジウムを機に新たなコラボレーションも生まれそうです。日本では分子生物学的手法の導入が遅れていますが、もう少し広まるように頑張りたいと思います。今回このシンポジウムのきっかけを与えてくれた鹿児島大学の小針さん、また時には100名近くと参加してくれた皆さん、また何より話題提供してくれた発表者の皆さんには感謝です。決して新しい技術だけがいいという訳ではないですが、新技術を使うことでこれまで見えなかったことが見えるのも事実です。最後の総合討論でも議論がありましたが、今後も総説やワークショップの開催、またさらにパワーアップして同様のシンポジウムを開催できればいいなと思います。

 

・発表題目


- 海洋生物遺伝子情報の自動取得に向けた基盤技術の開 濵﨑恒二(東京大学大気海洋研究所)
-プランクトン自動画像解析技術の現状 北島 聡(水産研究・教育機構)
-分子生物学的手法を用いた動物プランクトンの多様性研究 平井惇也(東京大学大気海洋研究所)
- 安定同位体比で食物連鎖を紐解く 野口真希(海洋研究開発機構)
-一般化線形モデルを使った動物プランクトンの分布生態研究-サンマとその餌となるプランクトンを例に- 宮本洋臣(水産研究・教育機構)
-プランクトン群集とtrait-based modeling 伊藤幸彦(東京大学大気海洋研究所)
-分子手法を用いた海洋植物プランクトン生態系の評価 遠藤 寿(京都大学化学研究所附属バイオインフォマティクスセンター)
-アルゴフロートを利用したプランクトンの生態学的研究 藤木徹一(海洋研究開発機構)
-遺伝子発現解析によるプランクトンの生理・生態学的研究 大西拓也(水産研究・教育機構)
-動物プランクトン生産力を評価する生化学的アプローチ:タンパク質合成酵素活性 小針 統(鹿児島大学水産学部)

2021年09月21日