寄生性カイアシ類のウイルス論文

助教の平井です。カナダに留学していた際に関わった寄生性カイアシ類のRNAウイルスに関する論文がPLOS Pathogensから公開されました。

 

Chang T, Hunt BPV, Hirai J , Suttle C (2023) Divergent RNA viruses infecting sea lice, major ectoparasites of fish. PLOS Pathogens 19: e1011386.


https://journals.plos.org/plospathogens/article?id=10.1371/journal.ppat.1011386

 

寄生性カイアシ類は成体になると魚などにくっつく寄生生活を送りますが、幼体時は浮遊生活を送っています。今回調べた調べた寄生性カイアシ類はサーモンに寄生し、時に甚大な被害をもたらします。普段は寄生する側として着目されつことの多い寄生性カイアシ類ですが、今回は寄生生物の寄生生物ということでウイルスに着目しています。網羅的なRNA解析を行ったところ、30を超える新規ウイルスが発見され、中にはこれまで真菌や植物のウイルスと考えられるものも含まれていました。また、small RNAやストランド特異的なRNA解析をすることで、これらのRNAウイルスがカイアシ類内で複製し、カイアシ類はこれらの感染に対する防衛システムを有する可能性も示してます。カイアシ類は海洋で非常に多くの種がおり、被食ー捕食、共生―寄生を通して多くの生物群と密接に関わり、ウイルスの進化を議論する上でも重要な生物群となりそうです。

 

研究内容はUniversity of British Columbiaからも紹介されています。

 

https://science.ubc.ca/news/are-viruses-keeping-sea-lice-bay-wild-salmon

2023年06月26日